新型コロナウイルスの感染防止のため、道内の病院や介護施設では国の緊急事態宣言の解除後も、家族が患者や入所者に面会できない状況が続いている。感染していない患者でも危篤状態になってようやく家族に面会を認める病院は少なくない。「窓越しの面会」など対応を模索する介護施設もあるが、家族は「早く元のように会いたい」と感染収束を心から望んでいる。
「お母さーん、いつもの持ってきたよ」。5月15日、札幌市北区の特別養護老人ホーム「オニオンコート」。高橋京子さん(62)は屋外で乳酸菌飲料を入れたビニール袋を振りながら、窓の向こうの室内にいる母親(87)に携帯電話で話し掛けた。 母が入所して6年。2月下旬に家族の面会が中止されるまでは週2、3回訪れていた。ロビーに母娘並んで腰掛け、乳酸菌飲料を飲みつつおしゃべりするのが何より楽しみだった。 4月下旬、同ホームが窓越しの「面会」を始めた。時間は10分間。1日8組の予約枠が埋まる日もあり、相談員の岡山頼大さん(41)は「互いの姿を見ただけで、涙を流しあう家族もいる」と話す。 「京子だよ」「お花きれいだね」「ご飯食べてる?」。2回目となった窓越しの面会で高橋さんは必死に呼び掛けた。母は認知症がある。「会わないと、私のことも分からなくなっちゃう。どうか覚えていてほしい」。母は娘の顔をじっと見つめ、何度もうなずく。10分はあっという間だ。「早く元の日々に戻ってほしい」。自室に戻る母を見送りながら高橋さんは祈った。
危篤でやっと
「最期をもっと一緒に過ごしたかった」。札幌市の女性(73)は4月下旬、母(97)を老衰で亡くした。 母は6年前、誤嚥(ごえん)性肺炎で市内の病院に入院した。女性は毎日見舞っていたが、2月25日から面会できなくなり、その後は毎日病院に電話し、寝たきりの母の様子を聞いた。母は耳は聞こえるが、話はできず、表情で気持ちを読み取るしかない。それでも「顔色は良いですよ」と看護師に言われると、少しほっとした。 3月20日の誕生日も看護師に手紙と菓子を託した。訪ねると、いつもうれしそうだった母。ベッドでじっと自分を待つ姿が浮かび、「行けなくてごめんね」と心の中で何度も謝った。 母の容体が悪化した4月下旬の早朝、病院から「最小限の人数で来て」と連絡を受けた。駆けつけると母は酸素マスクを着け、すでに意識はなかった。「ありがとう」と声をかけ、手をさすり続けた。母の心拍は徐々に弱まり、数時間後、意識が戻らないまま亡くなった。みとることができたのは自分だけ。道北で暮らす弟は間に合わなかった。 「毎日会いたかったし、話し掛けたかった。コロナが憎い」。だが、悔やんでばかりでは母が苦しむ。「せめて最期に会えて良かった」。女性はこう自分に言い聞かせている。 道内の病院では、感染が拡大した2月下旬ごろから順次、面会制限が進んだ。 約180人が入院する勤医協札幌西区病院も3月下旬から制限を始め、今も続く。容体の急変など緊急の場合を除いて家族は病棟に入れない。過去にインフルエンザの流行などで数週間の面会制限はあったが、数カ月に及ぶのは初めてだ。 重症化しやすい高齢者が大勢入院しているため、島垣雄一事務長は「家族の思いは痛いほど分かるが、全国的に院内感染が相次いでいる。患者の命を守るためだと理解してもらうしかない」と苦悩する。
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June 03, 2020 at 05:07PM
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「私のこと覚えていてね」87歳認知症の母と窓越しの面会 道内の病院や介護施設、感染防止で続く制限(北海道新聞) - Yahoo!ニュース
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