「研究者の研究内容が私の考えと異なるものであっても、私は同じ声明を出します」法大・田中総長が学術会議問題で政府に抗議法政大学は10月5日、菅義偉首相が日本学術会議の新会員として推薦された一部候補者の任命を拒否した問題について、「日本学術会議会員任命拒否に関して」とする田中優子総長のメッセージを大学公式サイトで発表。任命拒否に関する明確な理由が示されていないとして、「行政に不可欠な説明責任を果たしていない」と批判した。
菅首相は同5日、任命しなかった研究者が安倍政権の法案に反対していたことは「無関係」とし、「法に基づいて、内閣法制局にも確認の上で推薦者の中から首相として任命した」と述べた。一方で、「個別の人事に関することはコメントを控える」と任命拒否の理由に関する説明を避けた。
法政大学の田中優子総長名で出されたメッセージ「日本学術会議会員任命拒否に関して」。
出典:法政大学公式サイト
田中総長はメッセージの中で日本学術会議について「戦時下における科学者の戦争協力への反省から、『科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する』(日本学術会議法前文)ことを使命として設立されました」と紹介。
加えて「内閣総理大臣の所轄でありながら、『独立して』(日本学術会議法第3条)職務を行う機関であり、その独立性、自律性を日本政府および歴代の首相も認めてきました」「内閣総理大臣が研究の『質』によって任命判断をするのは不可能」と訴えた。
また、1983年の日本学術会議法の改正時の国会における政府答弁も紹介。現政権が、当時の説明を反故にしたこと、任命拒否の説明責任を果たしていないと批判した。
政府は「推薦制は形だけの推薦制であって、学会の方から推薦いただいたものは拒否しない」と国会で答弁しており、その時の説明を一方的に反故にするものです。さらに、この任命拒否については理由が示されておらず、行政に不可欠な説明責任を果たしておりません。
「研究者の研究内容がたとえ私の考えと異なり対立するものであっても、学問の自由を守るために、私は同じ声明を出します」
法政大学のボアソナード・タワー
撮影:吉川慧
田中総長は2018年5月に発した総長メッセージについても言及。
このメッセージは政権に批判的な法政大教授への科研費支給を、自民党の杉田水脈衆院議員らが批判したことを受けて出されたものだった。
本学は2018年5月16日、国会議員によって本学の研究者になされた、検証や根拠の提示のない非難、恫喝や圧力と受け取れる言動に対し、「データを集め、分析と検証を経て、積極的にその知見を表明し、世論の深化や社会の問題解決に寄与することは、研究者たるものの責任」であること、それに対し、「適切な反証なく圧力によって研究者のデータや言論をねじふせるようなことがあれば、断じてそれを許してはなりません」との声明を出しました。
そして「互いの自由を認めあい、十全に貢献をなしうる闊達な言論・表現空間を、これからもつくり続けます」と、総長メッセージで約束いたしました。
その約束を守るために、この問題を見過ごすことはできません。
田中総長は「任命拒否された研究者は本学の教員ではありませんが、この問題を座視するならば、いずれは本学の教員の学問の自由も侵されることになります」とした上で、このように記した。
研究者の研究内容がたとえ私の考えと異なり対立するものであっても、学問の自由を守るために、私は同じ声明を出します。
今回の任命拒否の理由は明らかにされていませんが、もし研究内容によって学問の自由を保障しあるいは侵害する、といった公正を欠く行為があったのだとしたら、断じて許してはなりません。
法政大学は9月16日、菅氏が首相に選出されたことを受けて「本学第一部法学部政治学科を1973年3月に卒業された菅義偉さんが、第99代内閣総理大臣に選出されました。ご活躍を祈念いたします」とするメッセージを発表していた。
研究者団体から相次ぐ抗議声明
法政大の田中総長のメッセージの他、日本学術会議」が新会員として推薦した6人の研究者について菅義偉首相が任命を拒否していたことについて、国内の研究者団体から抗議声明が相次いでいる。
・日本科学者会議「学問の自由を侵害する日本学術会議への政府の介入に強く抗議する」
任命の実質的権限は学術会議に属し、不適 切であるなら理由を付して学術会議に推薦の差し戻しを行えばすむことであり、「監督権」の行使は違法 といえます。ただちにこの違法な措置を撤回すべきです。
・日本パグウォッシュ会議「日本学術会議会員任命拒否に関する声明」
日本学術会議の「独立性」という原則が侵されれば、科学者が時の政権におもねることなく、あくまで科学の観点から社会のあり方について客観的・冷静な助言を行なうという学術会議の責務を果たすこと自体が難しくなるだろう。
・歴史学研究会「政府の日本学術会議会員任命拒否に断固抗議する緊急声明」
時の政権の恣意によって任命拒否が行われるのではないかとの社会の疑念を払拭するためにも、政府に対して、任命が見送られている新会員候補のすみやかな任命と、任命を見送った経緯についての明確な説明を要求する。
・日本社会学会「第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する声明」
内閣総理大臣による任命拒否とその理由開示拒否という異例の決定が学問の自由を侵すものであると考え、6名の会員候補者の任命拒否理由のすみやかな開示、そして6名の会員への任命を求める。
・社会政策学会「日本学術会議会員候補の任命拒否に対する声明」
今回の6名の会員候補の任命拒否は、同法の立法趣旨およびこれまでの政府答弁に見られる法解釈を逸脱するものです。また、日本学術会議法には、会員を専ら学問的観点から選出することが定められています。非学問的観点から任命拒否を行なうことは、社会政策学会が希求してきた学問の自由を脅かすものです。
・日本映像学会「日本学術会議会員推薦者の任命拒否に関する抗議声明」
同会議の協力学術研究団体である本学会も、改選にあたっては同会議の推薦に基づき首相が任命することが従来的な憲法解釈による慣例であり、学問の自由の立場から当然だと考えます。
このほか、是枝裕和監督、森達也監督氏ら映画監督や脚本家などが参道人に名を連ねた「映画人有志」も「日本学術会議への人事介入に対する抗議声明」を発表したと毎日新聞などが伝えた。
(文・吉川慧)
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October 06, 2020 at 06:30AM
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