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「私のせいなの、わかってます。もう結構です!」と逆ギレする母 どうすれば誤飲を予防できるのか? - 読売新聞

 事故で子どもが入院した場合、保護者に対して「事故予防プログラム」を実施している医療機関があります。退院前に、医療従事者から、事故予防のチェックシート、各種リーフレット、ホームページの案内などを渡して、日常生活での事故予防の必要性を指摘すると、多くの保護者は「よくわかりました。気をつけます」と納得してくれますが、中には、反発する保護者もいます。

 1歳6か月児。前夜、母親の不眠症用の薬を飲んで救急外来を受診。そのまま入院した。午前9時30分過ぎ、退院する前に看護師が「30分、時間をいただいて、事故予防の話をしたい」と話すと、母親は「30分も!?そんなの無理。急いでいるんです。上の子を迎えに行かなきゃならないので」と言った。看護師は「今回、誤飲した薬物は危険性が高い。きょうだいもいて、お母さんの負担が大きいのではないかと心配している」と伝えたが、「私がだらしないから、薬を出しっぱなしにして事故が起きたんです。わかってます。はい、気をつけます!もう大丈夫です!結構です!」と一方的にまくしたて、事故予防の話は聞かないまま、すぐに退院してしまった。

 医療従事者の側には保護者を責める気はなく、事故を予防するための情報を提供して事故を防ぎたいと思っていますが、保護者の側が「責任を追及される」と感じてしまうと、看護師、保護者の双方に不快な思いをもたらすだけとなります。子どもの事故を未然に防ぐには、どのような方法が有効なのでしょうか?

「私のせいなの、わかってます。もう結構です!」と逆ギレする母 どうすれば誤飲を予防できるのか?

イラスト:高橋まや

十二分に注意しても事故は起こり続ける

 子どもの誤飲の予防については、リーフレットやポスター、ビデオなどが作成され、「飲んでも安全なもののリスト」「危険性が高いもののリスト」「吐かせてはならないもののリスト」など、細かい資料が作成されています。東京都豊島区にある「 子ども事故予防センターKidsafe(キッズセーフ) 」には、子どもが飲み込んだものが陳列され、飲み込んだボタン電池が映っているレントゲン写真も掲示されています。

 しかし、こうした活動の“有効性”は確認されていません。30年くらい前、日本中毒情報センターは誤飲予防のリーフレットを作成し、乳幼児健診の場で配布しました。数か月後、そのリーフレットについて調査すると、3分の1は「もらった覚えがない」、3分の1は「読んでいない」と答えました。

  厚労省のホームページ には、「周囲のちょっとした気くばりで事故の大部分は防げます」と書かれています。それを引用したのか、消費者庁から出ている「子どもを事故から守る!! 事故防止ハンドブック」(2019年10月発行)の表紙にも、「子どもの周囲の大人たちが、子どもの身の回りの環境にちょっとした注意を払い、対策を立てることで、防げる事故があります」と記載されています。「ちょっとした」とは、「簡単なこと、誰でもすぐできること」という意味だと思いますが、現実は、「十二分に注意」していても事故が起こり続けているのです。

「その事故は予防できたか」と聞かれたら?

 なぜ、定量化できず評価もできない「ちょっとした気配り」などという言葉が出てきたのかを調べてみました。子どもの事故のアンケートで、「事故を経験した」と答えた保護者に、「その事故は予防できたと思いますか?」と聞いたところ、保護者の80%以上が「予防できた」と答えたとのことです。そのデータから、「ほんの少しの気配り」という言葉が出てきたようですが、それを 「予防できる」に結び付けた のは勘違いでしょう。

 「その事故は予防できたと思いますか?」と聞かれれば、ほとんどの保護者は「予防できた」と答えるはずで、「予防できなかった」と答える保護者はいないと思います。その「予防できた」という判断の根拠は、「自分が見ていれば」、「私が気をつけていれば」ということだと思います。「ちょっとした気配り」という言葉は、「保護者がすべき行動」について指摘しているだけで、製品や環境の問題はまったく考慮されていません。「変えられるもの」として「個人の心構え」しか取り上げていないので、他の人にはまったく伝わらず、他の人にも同じ事故が同じように起こってしまうのです。

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July 21, 2020 at 03:48AM
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