全国農業協同組合連合会(全農)では、新型コロナウイルスによる大きな影響を受けた花の生産者を支援する取り組みを行っています。その一環として、連載「花のない花屋」にご協力いただきました。
あなたの「物語」も、世界で一つだけの花束にしませんか? エピソードの応募はこちらから。
土井菜々子さん(仮名)53歳 女性
京都府在住
パート
◇
兄妹の多い夫の実家に初めて連れて行ってもらったのは、付き合って3、4年が経った頃。まだ結婚の話は出る前で、夕食に招かれました。
夫の兄は既に家を出ていたため、両親と妹2人に囲まれて、大きなテーブルには食べきれないほどの夕食の品々。私が来るからなのか、刺し身や、できたての一口カツにエビフライなど山盛りの揚げ物が次々と運ばれてきました。ワイワイと会話が飛び交い、笑い声が響くにぎやかな食卓。どれもこれまでの私には無縁だったもので、圧倒されてしまいました。
自分の実家では、食事中ほとんど会話はなく、食事の時間だから食べる、という感覚でした。それに対して不満や違和感を持ったことはありません。それが私にとって当たり前の日常でした。
実家は兼業農家で、父は養蚕の指導員もしていました。休日や夜中早朝など関係なく、養蚕農家から助けて欲しいと呼び出しがあれば駆けつける日々。母も祖父の介護や、父の仕事の手伝いをして忙しく過ごしていました。
ただいつも一生懸命で、私はふたりの必死な背中を見ていることが多かった。我が家の静かな食卓も、それはそれで大切な、毎日の変わらない1ページで、ドラマなどでにぎやかな食卓のシーンを見ても、作りものの世界のことだと思っていました。
夫の実家の食卓を見て、全く違う世界があることを知りました。私のなかの「モノトーン」だった食事のイメージに、優しい色彩をつけてくれました。
あれから30年余り。私と夫の食卓には、一人娘が加わりました。娘と私の“女子トーク”に夫が入れず、うらやましくて「ちょっと黙ってくれ~」というほど、にぎやかな食事の時間を過ごしています。夫と出会わなければ、間違いなく私はこんな食卓を作ることが出来なかった。きっとずっと、シーンとした食卓が普通のことだと思ったままだったでしょう。
夫の家族はあまりにまぶしく、その一員になることに不安がありました。「私はここにいていいのだろうか」とさえ思っていましたが、夫も、夫の家族も温かく迎えてくれました。今も夫の実家を訪れれば、あの頃と同じように、たわいもない話や優しい笑顔に心がほぐれ、帰る頃には気持ちが柔らかくなっています。
様々な偶然が重なり合って、今の我が家のにぎやかな食卓がある。そのきっかけをくれて、今も寄り添ってくれる夫の家族に、花束を贈りたいです。
花束を作った東さんのコメント
一家だんらんをイメージして、あたたかみのある黄色を基調としたアレンジメントにしました。真ん中に据えたオレンジ色の花がダリア。そこを中心に少しグラデーションにしました。花も、丸みのある種類のバラや、シンビジウムという、こちらもコロンとした形のランを使い、花束全体を優しい印象にしています。4人兄妹でしたら、とてもにぎやかな家庭でしょうね。投稿者様も包み込む、ご家庭の温かさや優しさが伝わればいいなと思います。
(写真・椎木俊介)
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「&w」では、読者のみなさまから「物語」を募集しています。
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。
花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
詳しくは応募フォームをご覧のうえ、お申し込みください。
フラワーアーティスト・東信 (あずままこと)
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November 26, 2020 at 08:34AM
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黙々と過ごしていた私の食事の時間に、彩りをくれたのは夫の家族 - 朝日新聞社
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