©法政大学体育会サッカー部
ブラウブリッツ秋田
今シーズンからブラウブリッツ秋田に入団した法政大学出身、ミッドフィルダーの下澤悠太です。
前回は直接的に人と関わって大学サッカーに興味を持ってもらおう!という話でした。そして今回はSNSを使った認知・興味の話です。ターゲットを絞って受け手のニーズを理解した発信することは大前提ではありますが、どうSNSを上手く使えば応援してもらえる"誰か"になれるかという内容です。今回はそこそこ長いかもしれませんが、参考になる内容だと思うのでぜひ読んでみてください。
大学サッカーや選手のことに認知・興味を持ってもらうためにもSNSは重要なツールになると思います。しかし、今の大学サッカー全体の発信を観てみるとターゲットをしっかり決めて発信しているチームが少ないという印象です。
ターゲットによって投稿の内容を変えなければいけないのは当たり前のことで、ただでさえ大学サッカーは興味を持たれていないのに、なんの考えもなしに「大学サッカーに来てください!」と言って足を運んでくれるほど世の中にはつまらないコンテンツで溢れているわけではないと思います。
そこで個人的に2つのターゲットに絞ったことを想定してそれぞれのSNSの投稿の仕方を考えてみました。
この層に対しては単純なSNSのアプローチは難しいと思います。なぜなら当たり前ですけど大学サッカーに興味を持っていないからですね。つまりどれだけ質の高い広告を作ったとしてもその人たちのニーズに合っていなければ、興味がなくてすぐに飛ばしちゃう広告と同じ存在になってしまう可能性が高いからです。
ではどうすればいいのか?そう考えた時に一番効果的だと思うのが口コミです。例えば法大サッカー部が運営しているTwitterで「ぜひ僕たちの試合を観に来てください!」と試合に関する情報だけを載せた投稿をしたとします。
その時に大学サッカーに興味がない人の目線で考えてみると、
1.そもそもアカウントをフォローしていないので目につかない
2.友達が拡散していてたまたま目についたけど興味ないからスクロールして飛ばしちゃう
3.ちょっと見てみたけど「へぇ~そうなんだ~」ぐらいの認知しかしない
みたいな感じでしょうか。
そこで口コミの出番です。大学サッカーを観に来てくれた人にただリツイートやいいねを押してもらうのではなく、「大学サッカーめちゃ面白かった!こんな経験ができた!」というような写真付きで楽しそうな投稿をしていたり、引用リツイートをして「〇月〇日に試合があります!大学サッカーでは〇〇な経験ができます!ぜひ私たちも一緒に応援しましょう!」のような感じでお客さんが主体的になって投稿をしてくれたらどうでしょうか?
仮に大学サッカーに興味がない層の人からすると「 大学サッカーってそんなに面白いのか。友達の〇〇が言っているくらいだから本当っぽいな!」というように思ってくれるかもしれません。ただリツイートやいいねで拡散して回ってくる投稿よりは興味を持ってもらう可能性があります。なぜかというと「オススメ」していることに利益が絡んでいる大学サッカーと利益が絡んでいない友達とでは信用度が違うからですね。
直接的に人と会って口コミをしているわけではないですが、今の時代ならSNSでの発信でも同様の効果はある気がするので、すでに会場に来てくれているお客さんにいかに大学サッカーについてSNSで発信してもらえるかが重要になってくると思います。
具体的な例を挙げていくと大学サッカー専用のハッシュタグを作って拡散してもらう仕組みを作るなどです。とは言ってもすでに関東大学リーグではそのような専用のハッシュタグを毎年作っています。昨年は「#これはもう部活のレベルじゃない」でした。
ただ、このハッシュタグをSNSで検索してみると使用しているのは関東大学リーグ連盟か関東リーグに所属している各大学のアカウントがほとんどでした。つまりその状況では大学サッカー関連のアカウントをフォローしている人にしか拡散されないので、すでに大学サッカーに興味がある人にしか回らないというわけです。これではいつまで経っても新規顧客の獲得には繋がらず、せっかく作ったのに意味が半減しているような気がします。
ではどうすればいいのか。そこで考えた一つの案がJリーグへの内定が決まっている選手のサイン入り式紙をプレゼントする企画の参加方法として組み込む作戦。ただ会場に来てくれたお客様の中で抽選して当選者を決めるのではなく、その企画の参加権利として大学サッカー専用のハッシュタグをつけて「〇〇選手のサインがもらえる企画に参加したい!」という投稿をしてもらうようにする。また、当選した人に関してはサインを書いた選手と一緒に写真撮影ができたり別のグッズにもサインしてもらえるような直接的に関われる時間を作ります。さらにそこで撮影した写真を使って「〇〇選手のサインをいただきました!」というツイートをしてもらえば、その投稿をしてくれた人のフォロワーの方に「大学サッカー」というものが届き、新たな層に認知・興味を持ってもらうキッカケになるかもしれません。
ちなみに「〇〇選手のサインが欲しい!」と投稿してもらえることでその選手の認知度の向上も期待できるし、当選したお客さんに関してはサインを書いた選手と時間を共有することで「もっと応援したい!」と思ってもらいリピーターになってもらえる可能性も高まります。
心理学において「単純接触効果」という考え方があります。これは「接触の頻度を少ないものよりも接触の頻度が多いものの方が相手から好意を持たれやすい」ということです。そういったことを考えても、口コミも含め、日々のSNS上で大学サッカーに関連する投稿をもっと増やしていくことが重要です。
個人的に面白いなと感じている取り組みが順天堂大学サッカー部が行なっている「友達の友達作戦」というものです。内容としては名前の通り選手が友達を誘って、その友達がまた違う友達を誘うという感じで、口コミの連鎖を図り新規の顧客や集客に繋がる取り組みです。また、この取り組みに積極的に参加してもらいやすいように友達を呼んでくれた人には特典があり、チケット代を安くしたりプロ内定者やOBのグッズがあたる抽選券をもらえたりするそうです。
とにかく今は一人一人が発信できる時代になりマスコミよりも口コミと言われてるぐらい友達が伝えることには影響力があると思うので、広告はいかに口コミさせれるかということを考えて設計した方が効果的だと思います。
それぞれ選手権で活躍した左から 飯島陸選手、蓑田広大選手、田部井涼選手、松井蓮之選手 ©法政大学体育会サッカー部
高校サッカー選手権は日本サッカー界の中で注目度が高いだけでなく人も集まっているため、そのパワーをうまく使わない理由はないと思っております。そこでターゲットを高校サッカー選手権を見ていてその大会で活躍していた選手のファンになった人たちにしてみます。選手権で活躍した選手は知名度も高くSNSのフォロワーも多い印象です。
法政サッカー部には第96回大会で優勝した前橋育英の主将の田部井涼選手や大会得点王の飯島陸選手がいますが、僕が実際に見た光景ではリーグ戦の時に飯島陸選手(当時1年)が数人の小学生に声をかけられ一緒に写真を撮っていたという一時がありました。そんな彼らのTwitterのフォロワー数を観てみると田部井選手4,131人、飯島選手5,898人でした。そもそもフォロワー数=ファンの数とは限らないということを理解しなければいけませんが、単純計算で 二人合わせて1万人近くの
フォロワーがいるわけです。そんな2人を擁する法政サッカー部ですが観客動員数の平均が350人程度にしか 満たない現実があるわけですね。
また、これは法政に限らず大学サッカー界では各大学に高校サッカー選手権で活躍した選手やJクラブユースとして有名だった選手がゴロゴロいると思います。しかし、高校サッカーから大学サッカーに活動場所を移した途端に注目度が低下していくと感じるのは私だけでしょうか。その原因の1つとして考えられることがSNS広告の仕方だと思っています。
法政を例に挙げると基本的なSNSでの投稿は試合の日程と結果、ニュースぐらいだと思います。この内容ではすでに法政サッカー部のファンである人にしかメリットがないように感じます。なので、個人的にはそのような投稿はしつつプラスαとして、せっかく高校サッカー時代に多くのファンを抱えた選手達がいるのであれば、その選手にピックアップし広告を出した方がファンの感情が動かせる可能性が高いのではないかと思いました。
例えば法政サッカー部に所属する飯島陸選手をモチーフにするのであれば、「第96回高校サッカー選手権で前橋育英高校を悲願の優勝に導いたあの飯島陸選手が、大学という場にステージを変えてさらに成長した姿をピッチで見せてくれます!ぜひ○月○日○○会場に足を運んで彼の勇姿を見てください!」 というような言葉とともに飯島選手の高校選手権時のプレーと現在の大学サッカーでのプレーをまとめた動画を発信して、さらにそれを本人が拡散してアピールするなど。そのような広告を発信していくことで「そういえば選手権の時の○○選手好きだったな!またプレーが見たいな!」というような感じで、その選手がキッカケで大学サッカーにも興味を持ってもらえるようになるかもしれないですね。
ということでとある大学サッカーファンの方が私に送っていただいたメッセージの内容を共有させていただきます。
やはり興味を持つ動機はチームではなく"個人"から入ることが多そうです。だからこそ積極的に人と関わって"誰か"になろう!という話をしているわけですが、特に高校サッカー選手権で活躍した選手はすでに高校サッカーファンにとっての応援したいと思う"誰か"になっている可能性が高いと思うので、その選手を前面に出した告知は効果的だと思います。
他に例も考えてみると、例えば私は柏レイソルU-18出身なんで対戦相手に柏レイソルU-18出身の選手がいる時に、「柏レイソルU-18出身の下澤選手と〇〇選手が今度は対戦相手として戦います!柏レイソルファンのみなさん!ぜひ会場に足を運んで彼らの勇姿を観に来てください!試合後にその2選手のファンサービスを行う予定です。」というようなコメントと高校時代の2人の写真を貼ったり、あとは#柏レイソルと@REYSOL_Officialを加えて柏レイソルの公式アカウントにも拡散してもらえるように仕掛けるなど。
会場に足を運ぶかどうかは別として柏レイソルファンの方であれば、まったく大学サッカーのことを知らなくても"柏レイソル"っていう文字が載っていることで「柏レイソル?なんの投稿だ?」と興味を示してくれて、結果的に「レイソル出身の子が大学サッカーで頑張っているのか応援してあげよう!」
というように応援してくれるキッカケになるかもしれません。
ということで高校時代に活躍していた選手のファンの方たちをターゲットに、その選手たちを全面的に出した投稿を各大学のSNSアカウントで発信してみるのも効果的かと思います。
あなたは宝くじを買ったことがありますか?一攫千金。一枚の紙切れによって人生が良くも悪くも変わる可能性がありますね。そんな宝くじを買った時にワクワクやどきどきといった感情が高ぶる感覚を覚える人もいると思います。ではなぜ感情が高ぶるのでしょうが?その理由は宝くじが当たった先の結果を知っているからですね。 つまり「一等が当たったら〇億円がもらえる」ということや、「実際に宝くじを買って当選した人がいるという事実を知っている」みたいなことですね。
そこであなたに質問です。もしあなたが宝くじに関する情報を一切持っていないとして、あなたは何千、何万とお金をかけて宝くじを買いますか?たぶんNOと答える人が多くなると思います。
他で例えるならモナ・リザを観に世界中から人が集まる理由も、実際の写真を本やネットなどで見たことがあったり、レオナルド・ダ・ヴィンチという有名な画家が描いていることを知っているからだと思います。「ルーブル美術館によくわからないけど有名な絵があるらしいよ!」というだけの情報では世界中から足を運ぶほどの価値は感じられないと思います。もし観に行った時に思ってたより大したことがなかったら時間とお金が無駄になるためそんなリスクはなかなか起こせないと思います。
つまり何が言いたいかというと「人は確認作業でしか動かない」ということ。大学サッカーに興味を持ってもらうためには「大学サッカーにはどんな選手がいて、どんなプレーを見せてくれるのか」というような大学サッカーの中身を知ってもらうことが重要だと思います。
もしあなたが大学サッカーの中身を全く知らなかったことを考えてみてください。週末の貴重な時間をどんな選手がいるのかどうかも分からない大学サッカーのために、1,000円もかけて会場に足を運ぼうと思いますか?もし僕がその立場なら内容もよくわらない大学サッカーに1,000円を投資するより、すでに内容を知っていて安心だし買った時の満足度が高いことも分かっているという理由でコンビニで売ってるサラダチキンを5個買うと思います。
実際に今の大学サッカーを観に会場に足を運んでくれている人は、新規の顧客の方よりもすでに大学サッカーの内容を知っているリピーターの方がたぶん多いような気がします。とにかく興味を持ってもらうためには大学サッカーの内容をもっと発信していくべきなのではないかと思っているわけですが、大学サッカーの中身が分かる取り組みであればなんでもいいということではないと思っています。
例えば、少しでも大学サッカーの中身を知ってもらおうとして、大学サッカー界のスペシャルなドリブルをする選手をピックアップしてプレー集を作って配信したとしても、今はYouTubeでメッシ選手のドリブルを無料で見ることができるので見向きもされない可能性も考えられます。
じゃあどうすればいいのか?と考えた時に重要なのが、
何度も書きますが「この選手を観に行きたい!」「応援したい!」と思ってもらう"誰か"になることです。なぜなら先に応援してもらえる"誰か"になることができれば、大学サッカー側が「〇〇選手のプレーを観てください!」とわざわざ呼びかけなくてもお客さんが主体的に「観たい!」と思ってくれる可能性が高いからです。
じゃあどうすれば"誰か"になれるのか?という話になるわけですが、一つ前の記事では直接的に人と接することが結局は1番効果的ではないか?という内容でしたが、個人的にはそれがSNS上でも可能だと思っていて、そのための施策の一つが部員ブログだと思っています。部員ブログとは一人一人の選手が考えていることやどんな思いをもってプレーをしているかというような自分の内面を言語化してリレー形式で発信している取り組みですね。この取り組みを既に行っている大学もありますが、「自分がどういう想いでプレーしているのか」「どういうことを考えているか」というような選手の内面の主張はファンの方が普段は知ることができないと思うので価値が高いと思いますし、「あの高校サッカーであれだけ活躍していた選手でも、今は大学サッカーという環境でもがいて頑張っているのか。応援したいな。」とか「この選手の考え方面白いな!」というように思ってもらえることができれば、大学サッカーに対する興味だけでなく その選手のコアなファンを生むキッカケにもなると思います。
ただしブログを書く上で頭に入れていかなければいけないのが、ブログを通して自分の考えを発信している人はすでに大勢いて飽和状態になりつつあるということです。今の現状でいえばどれだけ質の高いブログを書いたとしても大多数あるブログの中の1記事として見られると思いますし、そうなるとどうしたって影響力のある人の記事に人の視線は向かってしまうと思います。
さらに、大学サッカーのファンの方で大学サッカー部SNSアカウントをフォローしている人であれば関係ないかもしれませんが、大学サッカーに興味を持っていなくどこの大学サッカー部のアカウントもフォローしていない人からするとなおさら目につきにくい状況だと思います。
ではどうしたらいいか?という話になりますが、これも口コミが大事になってくると思っています。
個人的にとても参考になるのが早稲田大学ア式蹴球部の監督である外池大亮さんの取り組みです。具体的にどのような取り組みかというとTwitterで早稲田大学ア式蹴球部の選手たちが発信しているブログに対してコメント付きのリツイートをしていることです。元Jリーガーでもある外池さんがその記事を書いた選手に対してコメントをすることでブログに付加価値が付きます。そうすることでただ「いいね」や「リツイート」で拡散されて回ってくるよりも、「早稲田大学の外池さんが良いと思っているブログの記事なら面白いんだろうな!観てみよう!」というように興味が持ちやすくなるかもしれません。
今回はとても長くなってしまいましたがまとめると、ターゲットを明確にしてその人たちのニーズを理解し、応援してもらえる"誰か"になる取り組みをすること、SNSの投稿に関しては投稿だけでなく、その投稿を拡散する人たち、そし、「この記事とても面白い!」というようなコメントなど何らかの言葉をつけて拡散されることが重要になってくるということを覚えていてもらえればと思います。
下澤悠太(シモザワ ユウタ)
■所属:ブラウブリッツ秋田
■背番号:10
■ポジション:MF
■1997年9月4日生まれ
■170cm/68kg
■経歴 FC PROUD-柏レイソルU-18-法政大学
■2019年に天皇杯で東京ヴェルディやガンバ大阪を破った法政大学より新加入のミッドフィルダー。クラブからの期待も高く背番号10番を背負い、攻撃陣を牽引する。
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May 07, 2020 at 10:33AM
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【第6回】Jリーガーが考える!大学サッカーで集客をするには…? - スポーツナビ
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