2020年06月05日
読んで学ぶ/観て学ぶ終息が見えないコロナ禍のなかJリーグ開幕が正式に決定された。観戦はもちろんトレーニングや大会など、スポーツとの付き合い方そのものが変わっていきそうな今、我々サッカー関係者は、感染症とどう付き合っていくべきなのか。サッカーを愛してやまない感染症専門医の第一人者・岩田健太郎教授がすべてのサッカーピープルに向けて、新しいガイドライン「サッカー行動マニュアル」の策定を試みた。6月12日発売の『サッカーと感染症 Withコロナ時代のサッカー行動マニュアル 』から、一部抜粋して公開する。
『サッカーと感染症 Withコロナ時代のサッカー行動マニュアル』 より一部転載
著●岩田健太郎 写真●松田杏子
サッカーのプレー自体にリスクは少ない
感染の規模にもよりますが、サッカーは実際にコロナウイルスに対して、プレーする観点から言うと、それほどリスクは高くないと思っています。サッカーは空気の循環が非常にいい屋外でプレーするスポーツですから。
確かに接触プレーはあるかもしれませんが、それも一瞬のことなので、手でベタベタと相手チームの選手を触ったりすることもしません。
もちろん、たくさんの人が同時にプレーしたら感染するかもしれませんが、サッカーそのものはそれほど感染リスクが高いスポーツではないので、徐々に規制や自粛解除していくというやり方はアリだと思います。
例えば、学校が元に戻って授業をするとなった時に、普通の授業を受けるよりも屋外でサッカーをプレーする方が圧倒的にリスクは小さいんです。サッカーというよりJリーグで問題となるのは選手ではなくむしろ観客でしょうね。
今までのようにスタジアムに詰めかけてしまえば、サッカーを観る行為が密集を作るわけですから感染する確率が高くなります。
そう考えると無観客試合がよいだろうという訳なんですけど、サッカーをプレーするということ自体はそれほど大したリスクではありません。
Jリーガーにも感染者が出ましたけど、別にサッカーをプレーしたがゆえに感染したのではなくて、生活の中で例えば食事をしに行って感染した可能性が高いので、サッカーをすること自体は比較的、大きな問題ではないと個人的には思っています。
保護者の「世間話集団」が最も危ない
もちろん、リスクはゼロにはできません。ですので、リスクをゼロにしないという覚悟を決めるのであれば、サッカースクールやクラブ、部活の活動はできると思います。ただ、ここにも問題はあります。
それは保護者が関わっていることなんですよね。部活もクラブも子どもたちよりも保護者が集団を作るんです。グラウンドを見ながら、親たちで世間話をして集団を作ってしまいます。プレーをすることよりもこの集団を作る方がよっぽど危ないんです。
ですから、子どもたちがサッカーをすること自体は悪くないと思うんですが、保護者は見に行かないか、見に行っても離れて過ごす、そのようにすればよいのではないかと思っています。
保護者はすぐに密集を作るんですよ。個人的には部活でもクラブでも保護者はできるだけ関わらない方がよいと思っています。
保護者が入ると話がややこしくなる場合もたくさんあって、保護者の関わりを禁止にするというのはある意味、サッカーの健全化につながるかもしれません。
来るべき第二波、第三波に備えるためにも、“サッカー新生活様式”の拠り所として本書をご活用いただきたい。
全文は発売中の最新号『サッカーと感染症 Withコロナ時代のサッカー行動マニュアル』からご覧ください。
【商品名】サッカーと感染症 Withコロナ時代のサッカー行動マニュアル
【発行】株式会社カンゼン
2020年6月12日発売
長いスパンで感染症と付き合わざるを得ないWithコロナ時代に突入した今、もちろんサッカー界も新しい形態、思考にモデルチェンジしていく必要がある。サッカーを愛してやまない感染症専門医の第一人者・岩田健太郎教授の“サッカー異論”をフットボール批評編集部がまとめ、サポーター、選手、指導者……すべてのサッカーピープルに向けて、新しいガイドライン「サッカー行動マニュアル」。
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